ヘナで手荒れ美容師の離職を防ぎたい、もっと当たり前に
こんにちは。
ヘナ専門サロンMaif代表の小牧です。
今回は長年美容師の職業病でもあり、離職理由にもなっている『手荒れ』について書いていきます。
もっと早くに知りたかった
この記事を書こうと思ったのは、そもそも自分がずっと手荒れ美容師だった事が始まりです。
転職の際にも、〈手荒れ美容師といえばカット専門か辞めるか〉になる事が何だか弱者のようで、みじめな気持ちになったのを覚えています。
ネットで『美容師 手荒れ 転職』と調べても、出てくるのはどこか他人事。
本当に痛みがわかり、本気で働き方を考えている様に感じるものはありませんでした。
(2年目の頃)
当時は正直諦めていましたが、幸運な事に今のスタイルに辿り着き、現在では全く荒れずステロイドに頼らなくても仕事できるようになったという実体験があります。
ブリーチやパーマなど、デザインで勝負する美容師ではありませんが今が人生で一番楽しいです。
もっと早くにこの働き方を知っていれば、、、
そんな思いがあるので、今まさに困っているどこかの美容師さんに届けばいいなと願って書いています。
更にありがたい事に、当店は求人できるまでに成長しました。
ただ、売上が上がれば誰でもいいというわけではありません。
ヘナだけじゃなく、【働き方】も本当に必要な人に届けたい。
そう考えています。
【実体験】美容師としての手荒れの辛さ
アシスタント時代はシャンプーとドライヤーの繰り返しがどんどん手を破壊していきました。
今考えれば当たり前ですが、1日に何人も、1か月に何百回もそれを繰り返していれば皮膚表面のバリア機能も壊れていきます。
また当時勤めていた会社は昔ながらの体育会系。
今でこそ寛容になりつつありますが、シャンプー中の手袋なんて”もってのほか”。
パーマのチェックは手袋をつけてる暇もないので素手でやる。もちろん激痛です。
ワインディング練習ではゴムが傷口に食い込み、ブローやカットでは髪の毛がカッターの様に傷口を裂く…そんな感覚でした。
当時、アカギレが出来て痛がっていた同期がこっそり手袋をしてシャンプーしているのを上司に見つかった事があります。
夜詰められていた光景を覚えていますが今なら炎上です。
私の場合はいつも、水疱のようになりそれが破けて皮膚が裂けていく。
それが指を中心に手首付近まで広がっていた状態です。
もはや指紋はなく、海外旅行の時は困りもの。
手荒れが酷くなると、お箸を持つことも辛かったのでいつもスプーンで食べていました。
毎晩毎晩かゆさとの闘い。
いつもステロイドを塗り白い綿の手袋をして寝ていましたが、朝起きると掻きむしり指先が赤く染まっていました。
ジュクジュクした液が手袋に引っ付いて、剥がす事から1日が始まっていた日々。
女性だと肌がボロボロになるのはもっと辛いだろうなと思います。
「彼氏が出来ても手を繋げない」なんて話を聞いた時はこっちまで悲しくなりました。
対策といえば、色んな皮膚科に行く事ぐらい。
食事や生活習慣を正したくても、美容業界のブラックな中にいては叶いません。
更にはお金も、時間もない状態だったので。。。
しかしどの病院に行っても美容師と告げると「しょうがないよね」とステロイドを渡されるだけ。
どんどん塗る回数が多くなり、強いものを使うようになって手放せなくなります。
お薬を塗れば傷口の回復スピードは早くなりますが、塗れば塗るほど皮膚が薄くなりまた切れやすくなる。
そんな地獄のループに陥っていました。
美容師は刺激の強い薬剤を使った仕事なので、根本的な対処法がなくどうする事も出来なかった、というのが現実です。
それでも美容師が好きだった
私はこれまでに2回美容師を辞めています。
理由は手荒れだけではないですが、もし手が強ければ辞めるという考えになっていなかったかもしれません。
それだけ日々ストレスになり、全ての考えをネガティブに引き込む力があります。
実際、違う職の経験もしたのですがその時は当たり前ですが嘘みたいに手荒れは治りました。
全くのストレスフリーです。
それでも美容師に戻りました。
やはりそこには、お給料や拘束時間にかえがたい特別な魅力を感じていたからだと思います。
勤めていたどの美容室でも私は決してトップスタイリストにはなれませんでした。
日陰で細々やっている美容師でしたがそんな中でもいつも指名してくださるお客様もいて
「今まで指名したことなかった」
「信頼している」
「異動しても付いていく」
など、本当に嘘みたいに高評価してくれるお客様に出会うと、この仕事に使命感を感じてやみつきになります。
だけど仕事が終わると痒さと痛さが襲ってくる、手放しで「ただ美容師を楽しみたい」と何度おもったことか。
ヘナとの出会い、葛藤
話は現在に戻ります。
今でこそ専門店ですが独立当初は一般的な『何でもやる普通の美容室』でした。
日々お店を成長させようともがく中で、お客様のニーズの中にヘナが意外と多い事を知りました。
手荒れ美容師としては、ブリーチ系の新しいデザインなどの勉強は少し避けたくなる気持ちがあるのです。
しかしヘナは植物だという事で取っ掛かりやすかったのを覚えています。
実際に取り組んでみると、手に刺激が全くないですし何より素手で流せる事がメチャクチャ嬉しかったです。
美容の華型、『デザイン勝負の世界』からは外れる形となったので一時は『逃げ』と感じてしまう時もありましたが今は誇りを持っています。
美容師仲間に話しても誰もテンションはあがらない様子。
なんなら(変な方向にいった)と感じていた人が殆どだったと思います。
手荒れの変化とお店の変化
やっぱり体は正直で、ヘナのお客様が増えれば増えるほど、手荒れが改善されていったんです。
もちろん誤解のないように話しておくと、ヘナに手荒れを治す力があるわけではありません。
手荒れの原因になる薬品施術の回数が減ったから回復したという原理です。
自分でも意外だったのは、手の調子がいいと、《もっと勉強したい、知りたい》と意欲がわいてきたこと。
これまではいくら流行りのデザインでも、手をかばってそれ以上踏み込まないようにしていた節もあります。
健康的に働ける事がこんなにも幸せなんだと痛感し、化学薬品を使わない【ノンケミカルな美容】を追求するようになっていきました。
するとアラ不思議、これまで低い位置で低迷していたお店の業績もどんどん右肩上がりになっていったんです。
もちろんオーガニックなものが注目されだした時代の後押しもありますが、
こそが繁栄の本質ではないかなと感じています。
そうしてヘナのお客様の割合が増えてく中で僕は確信しました。
「ヘナだけでもやっていけるぞ!」
そこからは、どうすればヘナだけで成り立つのか、もっとヘナのお客様に喜んで頂く為にはどうすればいいのか。
分析・検証を繰り返し今の”ヘナ専門店マイフ”へと変わっていきました。
予想通り、今では完全に荒れなくなり皮膚科通いから卒業。
美容師を続けながらこんな未来があるなんて本当に想像もしていなかったので、夢のようです。
そして今は【次の夢】ができました。
私と同じような美容師さん達にもぜひ、この生活を味わってほしい。
もっと美容師を、人生を楽しんで欲しい。
幸せな人生において健康は必須。
手荒れをしている状態が健康なわけがありません。確実に体だけでなく心も蝕みます。
1人でも多くそんな美容師さんを救いたい。それが今の僕の活力です。
同じ悩みを持つ美容師さんへのメッセージ
ここまで読んで下さりありがとうございます。
今回は〈手荒れ美容師さん〉に焦点をあてて色々書きましたが、何より一番伝えたいことが
自分を責めないでください。
あなたが弱いからダメなわけではありません。
あなたの体質のせいで、色んな人に迷惑や負担をかけているわけではありません。
痛み、かゆみで頑張れないのは当然です。
そんなボロボロになる美容法しか提供していない美容室、美容業界が駄目なんです。
あなたは何も悪くない。
もし、同じような苦しみの中にいる美容師さんがいたら、1度でいいから”ヘナ専門”という選択肢を知ってほしい、体験してみてほしい。
あなたが手荒れを理由にこの仕事を諦める必要は、もうないかもしれません。
当店の近くにお住まいでしたらご相談頂きたいですが、他県でも今はヘナ専門店が増えてきています。
もしお店を知らないようでしたらご紹介もできます、お気軽にメッセージを下さい。
あなたの美容師の経験は、絶対大切にしたほうがいいです。
そして、あなたのココロと体を大切にできる働き方、未来を考え選んでほしい。
ありがとうございました。
Maif代表 小牧健太